''Ruby'' Shelf

本読みたい

ルート225 - 藤野千夜

今回は藤野千夜さん著の「ルート225」です。これも以前読んだことがあります。

主人公の中学生の田中エリ子と弟のダイゴが、親だけおらずそれ以外は変わらない異世界?—作中では元の世界の「A」と比較して「A'」と呼称されている―に迷い込んでしまう、という物語。

あー…。親がいないとだけ書きましたが。それだけではありませんでした、登場人物たちが微かに感じる違和感もあります。その気持ち悪さ?不気味さというのが正しいか、それもこの物語の雰囲気作りに貢献しています。

主人公が中学生なので、親への反抗など複雑な感情を描写しつつも、友達(もちろん元の世界の人とは別人)との交流など、年相応の軽快で大胆な行動も見せてくれるので、小説全体の雰囲気は楽観的であると思います。

その中の不安や悩みの描写はなかなかですがね。

団欒とかクマノイさんとかの話はなんか…さらりと簡潔に説明されていますが、なんか切なくなってしまいました。

この異世界で慣れてきてしまいそうな二人が、結局、元の世界に戻れるかというのは、ぜひ読んで確かめてもらいたいです。